ネズミサシ 鼠刺 ねずみさし 金沢から日帰りの距離に咲く花
ムロノキ 
室木 むろのき

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全部雄花
2007.04.21金沢市


2008.05.21金沢市

ネズミサシ「鼠刺」 ヒノキ科
Juniperus rigida

 樹高8m程。庭です。
 雌雄異花。次回は雌花を・・・。
 別名:ネズ・ムロノキ・モロノキ、盆栽では杜松(トショウ)

2007.04.21金沢市
万葉集の花植物  万葉集の花リスト
天木香樹・室木 廻香樹・牟漏能木 室乃樹

萬葉集總索引單語編 正宗敦夫編(白水社版)1142頁

大伴旅人
 天平二年庚午冬十二月太宰帥大伴卿向京上道之時作歌五首
吾妹子之見師鞆浦之天木香樹者常世有跡見之人曾奈吉
わぎもこが見し鞆の浦の
天木香樹(ムロノキ)は常世にあれどみし人ぞなき

 トコヨニアレドはカハラズニアレドといふ事とおぼゆ。ミシ人ゾナキはソヲ見シ人ゾ今ハ此世ニ無キとなり○天木香樹は舊訓にムロノキとよめり。新撰字鏡に
 程  楊類。加波也奈支又牟呂乃木
   二字牟呂乃木
     上同。又加豆良
とあり。又和名抄に
 一名河柳 牟呂乃岐
とあり。右の如く楊類カハヤナギ又一名河柳とあるによりてはやくムロノ木を柳の類とする説あり。然るに田中道麻呂の説(玉勝間三巻)には今ネズムロなどいふ木なりといへり。其説によれば漢土の杜松にて今ネヅミサシ、ネズノ木、ブロン、モロなどいふ木にて蚊遣にたくものなり。久老、千蔭、雅澄など皆道麻呂の説に従へえリ。されど後に至りてもなほ柳の類とする説なきにあらず。たとへば信友の動植名嚢には
 此ムロノ木江戸わたりにてギョリウと云へど若狭などにて
 はジョリウと云へリ。、、、肥後熊本人長瀬眞幸云。備後の
 鞆の浦の磯近き海中に泉水岩とて奇巖種々ありて景色よ
 き所あり。そこを舟にてゆくに磯の方の岩上に今江戸にて
 ジョリウ又ギョリウといふもの大木にて數株あり。枝葉もは
 ら海上へ垂れ覆ひたるさまいとめづらし。是万葉によめる
 ムロノ木なること疑なし。里人は其名をも知らであるなりと
 いへり。
と云へリ。案ずるにこゝに天木香樹とあり(十六巻なる玉ハハキカリコ鎌麻呂室ノ木ト棗ガモトヲカキハカムタメといふ歌の題辭には天水△香とあり)新撰字鏡にムロノ木とあり法隆寺資材帳に筥、捌拾貳合云々とあればムロは香木とおぼゆ。然るに御柳は香木にあらず。(其上本草家の説によれば近古に渡来せしものなりといふ)。之に反して杜松は香気ある木なり。さればネヅミサシをもカハヤナギをもいにしへは共にムロといひしにてはカハヤナギのムロ(否ギョリュウ)にあたる漢字なるをネヅミサシのムロにも轉用せしなり。(なほいにしへは萩をもハンノ木をも共にハリといひしよりハンノ木のハリに當る榛の字を萩のハリにも轉用せし如し)。さて此歌のムロは杜松の方なるべし。否おそらくは今イブキ又はビャクシンといふ木なるべし。イブキは杜松と同類にて海岸に多きものなり。
 因みにいふ。播磨の室ノ泊も此木の茂りしによりて名を獲つるなるべし。いにしへは生(ムロフ)ノ泊といひき

大伴旅人
鞆浦之磯之
室木将見毎相見之妹者将所忘八方
鞆の浦の磯の
室木(ムロノキ)みむごとにあひみし妹はわすらえめやも

 ミムゴトニは将来見ム度毎ニなり(古義)○アヒミシは其木ヲ共ニ見シなり(略解)

大伴旅人
磯上丹根蔓
室木見之人乎何在登問者語将告可
磯のうえにねはふ
室木(ムロノキ)みし人を何在(イヅラ)ととはばかたりつげむか
 右三首過鞆浦日作歌

 二三四の意はムロノ木ガソヲ見シ人ヲ我ニ問ハバとなり○何在を舊訓にイカナリとよみ契沖、久老、千蔭、雅澄之に従へれどこは考の訓の如くイヅラとよむべし。本集巻十五にも
いはた野にやどりする君家人の伊豆良とわれをとはばいかにかいはむ
とあり○カタリツゲムカはムロノ木ニ云々ト語リ告ゲムカ、イカニセムとなり

萬葉集新考第一・巻3 井上通泰著(國民圖書)549頁より

 上記の説明文から類推するに、万葉集に登場するムロノキが「ヤナギの一種」が一説目。
 二説目は「ネズミサシ(ムロノキ)」。
 この萬葉集新考では、三説目の「イブキ(ビャクシン)」を推しています。

 
解明に向けて調査しなければならぬ問題が五つ。
 一番目:イブキ(ビャクシン)の自生が石川県内に無いと思われるので、生垣や庭木を探さなければならないこと。
 二番目:画像のネズミサシは、生育していた能登の山間部から金沢に移植したものであり、海岸を詠んだムロノキの歌の情景と違うこと。
 三番目:能登出身の年寄りは「能登では、ネズミサシは山に生えていて海岸には生えていない」と言っていること。
 四番目:石川県林業試験場 Webサイトの樹木の「かんたん検索」でネズミサシの県内分布をチェックすると、結構海岸付近に自生していること。
http://www.pref.ishikawa.jp/ringyo/

 五番目:金沢でネズミサシの盆栽の名札に「杜松(トショウ)」と書いてあったこと。